福祉用具貸与事業所を選ぶときの3つのポイント!!(家族向け)

介護保険

私は親の介護のため、福祉用具貸与事業所の専門相談員でありながら、親の住まいがある地元の福祉用具貸与事業所から福祉用具を使わせていただいたことがあります。

無理をすれば遠方である私の事業所でも貸与することはできたものの、私のある思いからそれはやめました…。(理由は後ほど)


さて、福祉用具が必要で介護保険の福祉用具レンタルを受けたい場合、ご利用者様やご家族様はどのような行動をとるのでしょうか?


介護認定を受けていない方は

  • 地域包括支援センターに相談
  • 市区町村窓口に相談

 ※まずは介護認定を受けて、ケアマネージャーに担当していただきましょう!
 (あなたに必要な福祉サービスを提案してくれたり、相談にのってくれます。)

介護認定を受けている方

  1. ケアマネジャーに相談する。(複数の貸与事業所から一緒に選ぶ)
  2. お住まいの地区の貸与事業所をインターネット情報や介護サービス一覧表(市町村窓口にある)等で調べて決める。


多くの利用者は1のケアマネージャーに相談されることが多いです。

2の場合、介護サービス情報の検索サイト(参考:WAMNET)や福祉用具貸与事業所のホームページを見ることが比較的容易ですが、実際のサービス面など十分な情報を得られない場合があります。また、紙媒体の「福祉用具貸与事業所一覧表」は事業所名だけの情報ですから選べるはずもありません…。



まずは担当のケアマネージャーに情報面を頼りつつ、福祉用具貸与事業所を選ぶべきポイントからご利用者様(ご家族様)が自分で決めることをオススメいたします。



見知らぬ貸与事業所だったり、よく理解できていない福祉用具レンタルのことなど分からないことばかりなので、ケアマネージャーに頼ってしまう気持ちも分かります。

しかし、ご利用者様もご家族様も相互に負担が軽減できるかもしれない可能性を秘めた福祉用具レンタルですから、初めだけだと思ってしっかりと事業所を決めてほしいものです!!


福祉用具貸与事業所で差が出やすいサービス面3つ

ご利用者様のお住いの地域には、けっこうな数の貸与事業所があるはずです。小さな町でも3~5カ所の福祉用具貸与事業所は出入りしていると思います。その中から、適した事業所を選ぶわけです。


ケアマネージャーは福祉用具貸与事業所を、よく知っています!

ご利用者様を担当されているケアマネージャーのところには、福祉用具の担当者は定期的に訪問していて、自社のサービス面のアピールや既に担当されているご利用者様の様子について会話されていたりします。

日々会っているからこそ、ケアマネージャーは各貸与事業所の良いところ、がんばってほしいことをよく知っているのです。

ということで、元福祉用具貸与事業所で働いていたものとして、貸与業者を選ぶべきポイントについてお知らせしたいと思います。

3つのポイントから貸与事業所を選びましょう!

①福祉用具で困ったときに、すぐに対応してくれるか?(迅速性)

福祉用具は在庫状況や緊急性にもよりますが、何を使用するかが決まってから、通常で1~2日で納品に至ることが多いです。早いところでは当日に対応してくれる事業所もあります。

ただ、ここで言う迅速性とは初回の納品ではなく、福祉用具のレンタル契約中、必要に応じて迅速に対応してくれるかということです。例えば、福祉用具の不具合であったり、使っているものがお身体に合わなくなった時を想定してください。早急な対応が必要ですよね?

このような場面で、「必要時に可能な限り早急に対応してくれる事業所はどこですか?」とケアマネージャーに質問してください。

私の親の場合も、迅速な対応を期待して地元の貸与事業所にお願いしたということになります。


②定期的な点検を、どのくらいの間隔でしてくれるか?(安心感)

福祉用具を介護保険で利用する場合、定期的に福祉用具の利用状況をケアマネージャーに報告する義務があります。これは福祉用具の点検だけでなく、身体状況と福祉用具の適合状況の確認や、利用目標の達成状況等を確認するための訪問です。このことを福祉用具業界ではモニタリングと呼んでいます。

このモニタリングの頻度は各貸与事業所に任されていますが、短いところで3ヶ月に1回程度、多くは6ヶ月に1回程度で行っています。ただし、貸与事業所によってはモニタリングの実施状況が悪いところもあるため、きちんと定期的に訪問してくれる事業所を探せば、ご利用者様の細かな変化にも気づいてくれる可能性が高いということになります。

細かな変化に気づくことができれば、身体に適していない福祉用具を使い続けるようなことはなくなりますからね。安心です。


③適切な福祉用具を選定してくれるか?(提案力)

これについては、どの福祉用具貸与事業所もプロですから、福祉用具の知識はしっかりと持っているはずです。ここでいう選定とは、ご利用者様の身体状況や生活環境などを踏まえて福祉用具を適切に選定してくれるということです。この点を考慮して福祉用具貸与事業所を選ぶことは、なかなか難しいですね。

ということで、ケアマネージャーさんには「ご利用者様のことを真剣に考えてくれるような、熱心なスタッフがいらっしゃる福祉用具貸与事業所はどちらですか?」と聞いてみてください。

このような福祉用具貸与事業所だと、仕事という関わり方ではなく、ご利用者様の力になりたい一心で関わってくれるはずです。


番外編 あまり気にしないでほしいこと

数年前までの介護保険による福祉用具業界では、アピールしやすい差別化として、レンタル料金を安くすることで行ってきました。安いことが悪いことではありませんが、限られた資金で業務を行う福祉用具貸与事業所としては、必要以上にレンタル料金を安くすると、必然的にサービスの低下にしわ寄せが行ってしまう傾向があります。(例:モニタリングに行けない・迅速な対応ができない等)

また、平成30年よりレンタル価格を適正価格に近づける取り組みがされており、正直言いましてレンタル料金の差は福祉用具貸与業所を差別化するほどの問題ではなくなりました。

そういうこともあり、上記で述べました3つのポイントを重視した方が、ご利用者様にとって良いサービスを受けられるはずなのです。

番外編 こういうときには?

介護保険制度において、選ぶ権利は利用者側にあります。とても信頼しているケアマネージャーが、1つの事業所のみを勧めてきた場合の回答には困るかと思いますが、そんなときは、どうしてその事業所がお勧めなのかを確認してくださいね。

実際には複数の事業所を提案してくれるはずですが、早急な対応が必要な場合や事業所の空き状況にもよりますので、やむを得ないこともあるかもしれません。

ただ、一度決めた福祉用具貸与事業所でも、理由があれば変更することも可能ですので、契約後のお困りごとについては、遠慮なくケアマネージャーに相談しましょう。

まとめ

ということで、今回はご利用者様(ご家族様)向けに、介護保険で福祉用具をレンタルしたい場合の貸与事業所の選び方について書いてみました。

~3つのポイントのおさらい~
①福祉用具で困ったときに、すぐに対応してくれるか?(迅速性)
②定期的な点検を、どのくらいの間隔でしてくれるか?(安心感)
③適切な福祉用具を選定してくれるか?(提案力)


福祉用具は、身体状況や生活環境に応じた適切な福祉用具を使うことにより、はじめてご利用者様の生活を最大限に支えることができるものです。福祉用具を選定・提案する福祉用具専門相談員は大きな鍵を握っていることから、福祉用具貸与事業所をご自身の視点で可能な限り選んでいただきたいと思います。


ただ、福祉用具貸与事業所の多くは、時代に沿ってしっかりと研修を積んでいることに加え、他の介護サービス事業所と連携しながら貸与サービスの向上を図っているところもありますので、ご安心ください。

そのため、福祉用具を提供されている貸与事業所の方々には、ご利用者様が望む生き生きとした生活の実現に向けて、さらなるサービスの向上とスキルアップに挑戦していただきたいと願っています!!

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